第二章

ドラゴンの赤ちゃん、拾いました

1. 幻を見る者

あれからどれくらい経ったでしょうか。女王はじっと一点を見つめながら、自問自答を繰り返していました。――あの時、どうすれば良かったのだろうか…不当に批判され嘲られたにもかかわらず、戦わずに敵前から逃亡してしまいました。
竜の赤ちゃん、拾いました。

2. 狂気の夜

両親と婚約者までをも毒殺した犯人は、いまだに捕まっていません。スクエアードでは毒殺は殺人の中でも最も残虐(ざんぎゃく)な方法として、重い刑(けい)が科(か)せられています。
竜の赤ちゃん、拾いました。

3. 人生の嵐

ユストは指先でそっと女王の髪に触れてみましたが、女王は何の反応も示しませんでした。ユストが愛した銀の髪も、今はもつれて絡まり合っています。
ドラゴンの赤ちゃん、拾いました

4. 見えない明日

どこから洩れたのか、女王が錯乱したとの噂が密やかに、そして速やかに城内に広がりました。人々は女王が笑っても、悲しそうな顔をしていても彼女の狂気を疑いました。
ドラゴンの赤ちゃん、拾いました

5. ミュウ、家竜になる

――思いっ切り思いっ切り怪しいわね。何を隠しているのかしら。あとで、こっそり調べなくちゃ!一方、リューイはお母さんにバレているとは毛ほども思っていないので、後ろ向きで階段を上りながらさりげなく話し掛けました。
ドラゴンの赤ちゃん、拾いました

6. ホットケーキのお布団

「ふぅ~、あぶない、あぶない。もう少しでばれるところだった。」リューイはホットケーキを机の上に置くと、ベッドの上を確認しました。ミュウは先程と同じ場所に大人しく座っています。リューイは安心すると、早速、ホットケーキにかぶりつきました。「うま...
ドラゴンの赤ちゃん、拾いました

7. 未知との遭遇?!

――どこへ行ったのかしら?お母さんがふと、ベッドに目をやると布団の端からホワホワとした茶色の毛がのぞいていました。
ドラゴンの赤ちゃん、拾いました

8. 拾ったドラゴンには意外な特技がありました!

ミュウがリューイたちの家に来てから三ヵ月が経ちました。拾われたドラゴンの仔(こ)は家族の愛情を一身に受け(?)すくすくと成長しているようです。すっかり人間の生活に馴染んだミュウの様子をちょっと覗いてみましょう。
ドラゴンの赤ちゃん、拾いました

9. 男の子、ガッコウへ行く

信じられない思いで目の前の扉を見ていました。――リューイが…リューイがボクを置いていっちゃった…
ドラゴンの赤ちゃん、拾いました

10. ケサランパサラン?

ドアを開けたお母さんを最初に出迎えたのは、フワフワと舞う白い物体でした。「まあ、何これ?」リューイの新しい遊びかと思ったお母さんは一瞬、笑いかけましたが、すぐに笑顔が凍りつきました。